革の種類


革にはいろいろな種類があります。牛革や羊革などの哺乳類、爬虫類や両生類、魚類、鳥類の革などがあります。

★羊革


羊の革は、牛の革などと比べると強度はやや劣りますが、きめの細かさや柔らかさは抜群です。繊維が粗いため強度が必要な革製品には使われません。


【ラムスキン】
生後1年以内の羊の皮をラムスキンと呼びます。毛穴が小さく、きめ細かいためしっとりとしていて滑らかな風合いが特徴です。生後6ヶ月以内のラムスキンは、ベビーラムスキンとも呼びます。ラムスキンは羊の皮の中では最高級とされています。

断熱効果が高いので、防寒用の衣料として多く使われており、毛の付いているものは「ムートン」と呼ばれています。

【シープスキン】
シープスキンとは、生後1年以上経過した羊の皮です。主に体毛のタイプによって区別されており、巻毛種のものをウールシープ、直毛種のものをヘアシープといって区別します。

ウールシープは採毛のために改良された羊で、高緯度地域に生息しているので、寒さから身をまもるため細い毛と皮下脂肪を蓄えています。そのため革製品としては適しておらず、毛皮として利用されています。

一方ヘアーシープは、緯度20度以内に生息しており一年中夏の気候なので、主に家畜や採乳ように飼育されています。そのため保温用の毛や脂肪もあまり必要としないため、毛質もよくなく利用価値も少ないです。そのかわり皮質は密度が高く、手袋や靴用の革には最適です。



★馬革

 

馬革(horse leather)は、ホース・アニリンともいいます。牛革に比べて厚みや強靱性でやや劣りますが、原皮が大きく柔軟性では優れていますので、椅子張りなどのインテリア製品やレザー・ウエアなどの革製品に適しています。

【コードバン】
コードバンとは、主にスペインやフランス産の、比較的大きな馬から採れる革のことをいいます。サラブレット等の馬にはコードバンはありません。

馬の尻の艶やかな表皮の下にコードバン層があり、一頭からの採取量わずか2枚で、革の裏側を丁寧に削ってゆくと厚さ2mm弱程度のコードバン層が現れます。

コードバンは強靭な繊維をもつ、特別な存在でもあり「革のダイヤモンド」や「革の王様」とも言われています。馬革は通常、外側へ伸びていく性質であるのに対し、臀部(お尻の部分)のみは内側へ収縮するようになっています。

近年では小物などでも活躍していますが、主にランドセルや海外では靴の素材として昔から有名です。


【ホースハイド】
ホースハイドは、30年代の衣料に多く用いられていました。銀面(表面)の繊維は牛革に比べて粗く、運動量も多いため傷が多く、上質な素材は高価で取引されています。

首周りから前脚の周辺はフロントクォーターと呼ばれ、大判でありながら柔軟性も抜群なのでジャンバーなどの衣料に加工されています。


【ポニー】
ポニー(PONY)とは、体高147cm以下の馬のことを指す総称です。小型の大人の馬を指しており、子供の馬ではありません。ポニーの毛皮は、便宜上ハラコと呼ばれることがあり、ハラコの代用品として用いられています。


★カンガルー革


原産国はオーストラリアのみです。カンガルーの革は、副産物としての牛革の減少に伴い、革製品の素材として注目されています。外見は牛革と非常によく似ており、見分けはつきにくいです。


【カンガルースキン】
カンガルースキンは、薄くて軽く、しなやかなのが特徴です。カンガルーは、種の保存のために年間捕獲量が制限されているため、傷の少ない革は高級素材として珍重されています。牛革のカーフスキンよりも上質だと言われています。
特徴を活かして近年特に利用が増えているのが、スポーツシューズへの利用です。強度も申し分ないため、サッカーのスパイクなどにも用いられており、激しい運動から足を守ってくれます。

 

     


★鹿革

 

日本古代、もっとも愛用されたのが鹿革です。鹿革は軽くて丈夫なうえ通気性が良いため、足袋や武具、衣料など広い範囲で利用されていました。近年では革製品の他に、レンズや自動車の汚れ落としても利用されています。


 【バックスキン】
バックスキンは牡の鹿の皮から作られた革の事をいいます。銀面(表面)を除去して、ビロード状に起毛させています。鹿革は、牛や馬の革と比べて軽くて水に強く、通気性に優れています。

 


【ディアスキン】
ディアスキンは牝の鹿の皮から作られています。湿気を吸い取る性質を持っているため、日本の気候に最適で、商品によっては洗濯することも可能です。

鹿革の中でも、キョンという種類の鹿から作られた革を「セーム」と呼びます。セーム革の定義として、鹿の銀面(表面)のみを使っており、アルカリ膨潤なめしを施して、魚油還元を施しています。染色すると魚油還元時に吸収されたコラーゲン成分が抜けてしまうため、クリーム色で着色はしていません。

非常に肌触りが良く、水分を吸収しやすいながらも硬くならず、伸びても元に戻る性質を活かして衣料のほかにレンズや自動車磨きにも使われます。

 

     


★ワニ革


爬虫類皮革の代表的なものがワニ革です。

【スモールクロコ】
ワニ革の代表格です。ヨーロッパでは、シンガポールワニとも呼ばれています。腹部の四角形(長方形)をした鱗が美麗に揃ったスモールスケールタイプクロコダイルは、ワニ革の中でも最高級品です。

高級なハンドバッグ、小物、ベルト等に使用されます。


★ヘビ革

個性的な斑紋や鱗模様を持つヘビ革は、皮革ファッションには欠かせない素材のひとつです。ヘビを含む爬虫類には、独自の鱗のほかにその種独特の斑紋・模様を持っています。種によって斑紋を活かしたり、需要により斑紋を薬品処理で脱色する仕上げがあります。

【ダイヤモンドパイソン】
全身にダイヤ型の連続的な斑紋・模様があるところから、ダイヤモンドパイソンと呼ばれています。皮質の丈夫さや、大きさの点では利用度も高く、他の皮革には見られない美しさと、ワイルド感があります。この種の最大のものは、体長10メートルもあります。

 

 

【モラレスパイソン】
全身に不規則な図形模様があり、その個性的な斑紋模様が、ファッション界で人気を得ています。
皮質の丈夫さ、サイズが大きいなどの利点もあり、アミメニシキヘビ(ダイヤモンドパイソン)と共に、ヘビ革の主力として、幅広く各種製品に使用されています。 沖縄の蛇皮線は、この皮が使用されています。
一般的に雌の方が雄より大きく、最大では7メートルに達したものもいます。


トカゲと同様に、背中を活かしたBelly Cut Type と、腹部を活かしたBack Cut Type があり、バッグ類、靴、ベルト等に幅広く利用されています。

 


【レッドパイソン】
この種の特徴としては、尾部が短く胴が太い体型をしており、身体全体が赤味を帯びているところから、緋色錦蛇と呼ばれています。
背中を割いて、腹部の特徴のある蛇腹を活かし、アメリカでは、カウボーイブーツ用に、日本ではソフトに鞣し、レディースバッグ等に使用されています。


★山羊革

山羊革は耐摩擦性に優れており、薄くて丈夫という優れた特性を持っています。牛革や馬革と較べてあまり馴染みのない革ですが、高級皮革素材として有名ブランドでも使われています。

【キッドスキン】
山羊革は年齢によって呼び名がかわります。キッドスキンとは仔山羊の革の呼び名です。銀面(表面)には、細かなシボと呼ばれる独特の凹凸があり、キッドスキンは特に細かなシボと柔軟性に富んでいます。

主な用途として、薄くて丈夫だという特性を利用して、高級革手袋や靴、ハンドバッグなどの素材としても使われています。

 


【ゴートスキン】
ゴートスキンとは大人の山羊の革を呼びます。羊の革よりも繊維組織が充実しており、銀面(表面)にはキッドスキンと同じように細かなシボが並んでいるのが特徴です。

 


★豚革

豚の皮は、国内で唯一飼育から革製品の製造までを供給できる革素材です。銀面(表面)に、三角形「∴」に並んだ3つの毛穴が特徴的です。

【ピッグスキン】
豚の体毛は、皮膚の表面から内側まで突き抜けているので、皮に毛穴の痕が残っています。毛穴が開いていることにより、通気性がよく軽さにもつながっています。さらに豚皮は牛皮よりも摩擦に強く、柔らかい革を作ることも固く半透明にすることも可能です。スエードに仕上げたピッグスキン・スエードは人気が高いです。

牛革などと較べると過小評価されがちですが、海外での評価は高く有名ブランドでも使われています。通気性がよく、摩擦にも強い特徴をいかして、靴の内側や手袋などに使われており、財布や衣料などにも利用されています。